木造住宅のプレカットとは?特徴とメリット・デメリットを知ろう

現在の木造住宅では、「プレカット」という加工方法を採用する物件が多くを占めます。

プレカットは、住宅の木材を工場であらかじめ製材・加工する方法で、かつて主流であった大工の「手刻み」とは対照的な方法です。

今回は、住宅づくりに必要不可欠となったプレカットはどのような技術なのか、その特徴やメリット・デメリットを解説します。

木造の家づくりを検討する方は、ぜひ参考にしてください。

 

プレカットは在来工法の9割で使用!

 

プレカットは、木造住宅に使用する柱や梁、床材や壁材などの部材を、あらかじめ工場にて製材し、接合部の加工を施す方法です。

プレカット工場では設計図を反映した「プレカット図」に基づき、必要な部材が正確に機械加工されます。

従来の家づくりでは、大工が材木に「墨付け」を施し、ノミやカンナを用い手刻みにて材料づくりをするのが一般的でした。

しかし、住宅需要の増加や職人不足、コスト削減などを背景に、工場で大量に部材を生産できるプレカットは急速に普及していったのです。

2018年時点では、日本の家の主な工法である在来工法(木造軸組工法)において、93%という高い割合で採用されています。

現在の家づくりにおいて、大手ハウスメーカーから地域密着型の工務店まで、プレカットは必要不可欠な加工方法だといえるでしょう。

 

参考:林野庁|第1部 第3章 第3節 木材産業の動向

 

プレカットのメリット

工期の短縮につながる

プレカットの最大のメリットは、工期を大幅に短縮できる点です。

手刻みの場合、大工が材木を一つ一つ加工し、組み立てていくため、手間と時間がかかります。しかし、プレカットではコンピューターに入力したデータをもとに、長さ・径・継ぎ手・仕口といった加工を施すため、現場ではすぐに組み立て作業に入ることができます。

加工済みのプレカット材は「番付」という配置を示す記号が印字され、現場に直接運搬されます。番付は手刻みでも墨書きされますが、プレカットでは部材寸法なども印字されているため、正確・スピーディーに組み立てやすくなるメリットがあるのです。

 

コストを抑えられる

プレカットは、コスト面でも大きなメリットがあります。

手刻みでは大工の技術や時間が必要となるため工賃がかさみやすくなりますが、プレカットを導入することで、工場での大量生産によるコスト削減が可能です。

また、現場で出るごみの量も減るため、産業廃棄物の処理費削減にもつながります。

 

品質が安定しやすい

プレカットではコンピューター制御の精密な機械を使用するため、設計図通りの正確な加工が可能です。

人為的なミスによる切り間違いや寸法間違いなどが無いため、品質の安定性において優れているといえるでしょう。

 

プレカットのデメリット

樹種の特性や個体差を活かせない

プレカットの最大のデメリットは、木材の個体差や樹種の特性を活かしにくい点です。

手刻みでは、大工が木材の特徴を見極めながら加工を進めるため、多少曲がりや節がある材でも精度よく加工することができます。しかし、プレカットでは、規格化された加工が行われるため、個々の木材の特性が反映されにくく、組み立て後に数ミリ単位でズレが生じるケースがあります。

木材は金属や樹脂などと違い、割れや反りが起きる材料です。樹種によっても特性が多く異なります。無垢材はもちろん集成材にも個体差があるため、特性を見極めた材料づくりは家の耐久性や精度にも影響するでしょう。

 

複雑な加工が難しい

プレカットは標準的な加工は得意ですが、複雑な仕口や納まりがある材木は対応できないケースがほとんどです。

古くから木の文化が根付く日本では、大工技術が非常に奥深く、材木をつなぎ合わせる「木組み」の種類についても、数えきれないほど存在するといわれています。

現在の木造住宅ではいくつかの規格化された木組みと構造金物を合わせて強度を保ちますが、木をあらわし金物を見せたくない箇所や、古建築を修繕する際などは複雑な木組みが用いられるケースもあります。

手刻みであれば大工が柔軟に対応し、現場の状況に合わせた加工を行うことが可能になるため、自由度の高い設計やデザインが実現しやすくなるのです。

 

▼「木組み」についてはこちらでも詳しく解説しています!

≫日本の伝統工法「木組み」って何?特徴や在来工法との違いを紹介

 

熟練の大工には技術が劣る

 

プレカットは機械による加工が主となるため、熟練の大工が持つ技術や経験には及ばない面があります。

手刻みでは職人が長年培ってきた技術や感覚を駆使し、木目方向や乾燥具合を見極めながら加工を施し、適材適所の組み合わせを導き出します。これに対して、プレカットは効率を重視した標準化された加工が中心であり、細やかな部分での職人技を再現することは難しいといえるでしょう。

すべての材料を加工できるわけではない

プレカットでは、家の骨組みになる構造材や、屋根・床の下地となる合板、床用断熱材などを加工できますが、内装に張る石膏ボードや外壁仕上げ材などは現場での手作業加工が必要です。また、室内の造作材なども、現場加工されるケースが多い部材です。

プレカットは家づくりに必要な部材の多くを加工できるようになってきていますが、内外装など仕上げに関わる部分は細かい加工が求められ、逆に効率が低くなるため手作業加工が勝る結果となっています。

 

辰巳工務店の家づくりはすべて大工による手刻み

わたしたち辰巳工務店では、9割以上のシェアを誇るプレカットを採用せず、すべての住宅を熟練の大工による手刻みでつくり上げています。

手刻みによる家づくりは、木材の特性を最大限に活かし、細部まで美しさと強度を持った高品質な住宅を完成させます。

 

 

手刻みを採用すると一見コストが高くなると思われがちですが、辰巳工務店ではあらゆる無駄を省き、効率的な工程管理を行うことで、コストを抑えながらも妥協のない住宅を実現しています。

さらに手刻みによる住宅は、将来的なメンテナンスやリフォームの際にも柔軟に対応できるため、長期的な視点で見ても価値のある住まいとなるでしょう。

▼自社大工については、こちらでも詳しくお伝えしています

≫伝統技術の継承

 

まとめ|高品質で長持ちする家なら辰巳工務店にお任せ

今回は、木造住宅のプレカットについて紹介しました。

プレカットでも手刻みでも、設計図通りに家は建ちます。建築基準法上の建物強度を見ても、大きな違いはないでしょう。

しかし、家づくりは一生に一度の大きな決断です。せっかく家を建てるならば、見えないところまでしっかりと気配りされた「本物の木の家」に住みたい、そんなこだわりを持つことは素晴らしいことではないでしょうか。

辰巳工務店の建てる家は、熟練の大工が手刻みで加工した無垢材を使用。「永く住まう家」をモットーに、数十年経った後さらに魅力を増す家づくりを目指します。

高品質で長持ち、ずっと快適が続く家づくりをしたいとお考えの方は、辰巳工務店までお気軽にお問い合わせください。